超・格差社会アメリカの真実
小林 由美
日経BP社 刊
発売日 2006-09-21
告発物ではなく、優れたれた経済史本である。 2006-10-11
はじめの百ページほどは、現在のアメリカの経済について書かれている。データを挙げて、マクロ面で緻密である。
しかし特に評者が教えられたのは、メイフラワー号からのアメリカ経済の歴史、特に南北戦争後のそれの概観である。そのあたりのことを知る日本人は専門家を除けば居ないはずである。そうだったのかと膝を叩くことが多い。
終わりの二章、「心地よい」と「本質とその行方」。特に面白い。“アメリカは能力ある人にとっては魅力的な国だ、コストの高い基礎教育を母国で済ませ、移民として働くことは教育費を払わずに成果だけを手に入れる、、」
「おわりに」、の日本で言うサラリーマンはアメリカには居ない。「会社」の持つ意味が日米ではまったく別である。など、ここで紹介しきれないが、胸のすくような発言が多い。
著者は滞米生活が長く、日本語に不安を持っておられるようだが、その心配はない。
星を一つ少なくしたのは、帯の宣伝が気に入らないからである。 著書そのものはきわめて優れた近代アメリカ経済の解説書であろう。
アメリカの臓腑を知るには 2006-10-09
古今東西の観点から、歴史的な観点から、社会のあらゆる側面から、アメリカという
国を鋭く捌いて中身を露わに読者に呈示した本に、はじめて出会いました。このよう
に小気味のよく切れ味の鋭い分析は、読むと本当にスッキリします。
明日の日本の「真実」を語るガイドブック 2006-10-09
衝撃の書である。今更、米国でもあるまいと思いつつ読み進むうちに、如何に浅はかな知識だったかを思い知った。ハリケーンによるニューオーリーンズの惨状に、階級分化がこんなに激しいのかと首を傾げ、事ある毎にキリスト教原理主義を大統領が積極的に支持する姿にも不可解さを覚えてはいた。そんな疑問に実証的かつ歴史的な背景も加えた説得力ある答えが用意されている。本間長世外の米国研究者達が一切口をつぐんでいる様に見えるため、パンドラの箱を開けちゃったんではと心配するほどだ。著者は、格差社会のハードルを越える「クリエイティビティの尊重とマネジメント能力」がアメリカにはあると言う。アメリカの後を追う日本にもそれは用意されていくだろうか、そこに不安が残る。最後に私も言おう、「ビジネス・スクールの卒業生が、社会問題にも関心があるというのは、嬉しい驚きだ」。
無心の内部者の知性による卓越したアメリカ論。絶妙の視座、洗練された批判精神。 2006-10-07
この本は超格差社会としての米国の現状に対するたんなる告発でも、米国の世界支配や国内支配についてひと目を驚かすようにおどろおどろしく書かれた本でもなく、また米国の社会原理を模倣しようとしている日本に対するありふれた警告でもありません。アメリカのありようを、まるで御近所で起きたことを間近に語るように明晰な知的皮膚感覚で伝える本書は、その最終章においてはこの対象としているアメリカの現実をくぐり抜けて、この世界の中でどのように生きるのかという思考にすら導きます。
アメリカ誕生以来の歴史が、格差による支配を確立し拡大してきたこと(第4章)、米国では富の偏在は必然的であるどころか「正統性」をもつものであり、それを富める者のみならず底辺層を含むあらゆる階層のアメリカ人が得心し支持するのはなぜか、その秘密には目をみはり思いにふけりました。
スタンフォード大学のMBAを持ち、ウォール街初の日本人証券エコノミストとなった著者が渡米して現在まで26年、米国金融業界の内部者としての生活の中から大袈裟な身振りをすることなく、おだやかで新鮮な関心に充ちた筆致でアメリカを描いた本書は、ジャーナリストや学者にはけっして書けない深い身の丈と生命感を持ったものではないかと思います。
在外経験者しかわからない実態 2006-10-04
著者も述べている通り、メディアを通して触れるアメリカのイメージは、アメリカ文化の只中でサバイブしてきた者にとって、常に違和感を伴っている。
聞きかじりや思い込みだけで「アメリカ」及び「アングロサクソン社会」を語る人・語っている人にお薦めしたい本です。
アメリカで生活し、アングロサクソン社会でサバイブした人にしかわからない、「実態」を
書ききっています。おそらく、在外経験のない人には「読み物」として理解できても、100%
同調はできないでしょう。それでも私は敢えてこの書籍を薦めます。
まだ前半部しか読み進めていないので星三つとしましたが、これから留学を考える学生・社会人の方や、赴任されるかた、仕事上「アメリカ人」と付き合いのある方は是非一読を。
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