ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
スティーヴン・レヴィット /スティーヴン・ダブナー
東洋経済新報社 刊
発売日 2006-04-28
インセンティブは金だけじゃない。 2006-10-17
経済学をかじった人、全く経済学を知らない人、で読んだ後の感想が
かなり違ってくる本かな。
あらゆる個人・企業体は何らかのインセンティブに
基づいた行動をする、という経済学の基本中の基本を、
かなり斜めからザクっと切った感じ。
よ〜〜〜く考えれば、まぁ、もっともだ、と思える話で、
なかなかおもしろかったけど、
ちょっとアメリカの麻薬密売人の章は長すぎた。。
人の合理的行動を解説する 2006-10-04
レヴィットはシカゴ大学の経済学教授であるが、彼はお金のことではなく、人間の合理的な行動を分析するタイプのアカデミシャンである。
日本の相撲が8勝7敗の力士ばかりなのは統計的におかしく、八百長が行われていることを完全に示唆する。同様に、アメリカでも成果主義の教師は学生の答案をいじって、自分の評価を高めようとする。同じく、シカゴのドラッグ・ディーラーは金銭的に合理的に販売人をやっている、といった風なことを興味深く示すのである。
私が個人的に驚いたのは、やはり90年代後半からのアメリカの青年犯罪率の低下の原因に対するレヴィットの分析だ。通常、マスコミでもアカデミアでも、これはニューヨークから始まる厳格な刑事政策のせいであるとするのが普通なのだが、レヴィットによれば、そうではなくて、中絶を認めたことによって、まさに犯罪者になるような環境の子供が激減した結果なのだという。彼は他の都市での統計も示すことによってこれを説得力のある議論にしているのだ。
これはヤバくはないし、むしろ正当な社会科学の読み物だ。すばらしい本だが、唯一、統一的なテーマにかけるのが やや残念である。
気分が暗くなる… 2006-10-04
着眼点は非常に面白い。確かにこういう経済学ってあってもいいよな、と思う。しかし、世の中って結局インチキだよね、と思わせるための本なのかな、と思うような内容も多く、プラマイゼロという印象
決して「ヤバい」わけではない 2006-09-22
切り口が面白いだけで、決して「ヤバい」わけではない。書店で手に取らせてしまう邦題が成功の要因。
様々な切り口に対する分析手法は従来的な統計手法に拠っているが、共著者の作家が導き出された結果を上手に面白く書いているように思う。
また、教育、民族問題に対する日米の意識の差を強く感じさせられた。子育てについては日本での同様調査を是非見てみたいもの。
人は±のインセンティブに一喜一憂しながら人生を送っている 2006-09-19
「道徳」が世の中の理想であるのに対し、「経済学」とは世の中が“実際にはどうなのか”を表す学問だと著者は言う。この観点はいい。だって、経済学者のほとんどは“実際にはどうなのか”がまったく見えず、理論に囚われているように思えるから。
“インセンティブ”っていう考え方を経済学のベースに置くのも、とってもわかりやすい。実際、人々は細かい±のインセンティブに日々、一喜一憂しながら人生を送っているのだから。
著者はインセンティブには「経済的」「道徳的」「社会的」の3つがあるって言うけど、耐震強度偽装問題なんてのは、「経済的」インセンティブにだけ目が行っちゃって、「道徳的」インセンティブにはどうにか目をつぶったけど、「社会的」インセンティブを見誤っちゃった、ってことなんだろうな。
力士の八百長ネタは、ジャパニーズにとっては充分ツカミはOK!って感じだけど、まぁ、なんと言っても、中絶解禁と犯罪低下の因果関係が目からウロコだよね。実際、相関関係と因果関係の見極めは難しい訳だけど、普通は目に見える要因をパラメータにするんであって、“存在しえたはずのものが存在しなかったこと”を要因に挙げるって発想は秀逸。まぁ、このネタにしても、白人黒人別の名前ランキングにしても、かなり誤解を受けやすい論旨ではあるよな、確信犯だろうけど。日本で言ったら小室直樹の路線である。
あと、発想、切り口は刺激的だけど、お題自体は陳腐なものもある。さっき挙げた白人黒人別の名前ランキングなんてのに比べれば、堀井憲一郎の方がずっと面白いし。まぁ、アメリカンとジャパニーズの違いでヒットポイントが違うって部分もあるけど。あと、結局実利しか目がなく、不合理性の魅力がわかんない、アート感覚ゼロって点では従来の経済学者と同類かも。
タイトルはじめ、翻訳、編集はかなりよくマーケティング出来てて、ベストセラーがうなずける仕上がり。
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